はじめに
「観光地として有名じゃないし、人を呼ぶのは難しいかも……」
そんな悩みを抱える地方自治体や観光協会のご担当者様は少なくありません。
しかし、“観光地ではない場所”でも、人々を惹きつける体験型イベントは作れます。
カギとなるのは、地域ならではの魅力を発掘し、体験価値に変換してイベントに落とし込むことです。
今回のブログでは、
・地域資源を体験化する方法
・ターゲット設計の考え方
・魅力を引き出す“文脈づけ”の工夫
・地域や店舗を巻き込んだ賑わいの作り方
などをご紹介します。

地域資源を“体験価値”に変える
観光地でなくても、地域にはそれぞれの文化や歩んできた歴史があります。
派手な観光名所がなくても、独自の資源が眠っているのです。
例えば、
・歴史、文化:古い建物、地元で語り継がれる逸話
・景色:街並みや季節の風景、川沿いや丘の上の道
・名産、ご当地グルメ:食材、工芸品、地元に根付いた日常の文化
地元の人には馴染みがあるものも、ほかの地域の人からすると新鮮に感じる独自の資源です。
しかし、これらをただ紹介するだけでは、興味をそそるのは難しく、価値を感じられる体験に変換する工夫が必要です。
体験価値に変えるアイデアの例としては、
・古い建物
➡地域に根付く昔ながらの物語をモチーフにした、街歩き型謎解きのスポットとして活用
・川沿いの道
➡写真スポットやウォークラリーとして回遊導線に組み込む
・地元食材
➡クッキングイベントや食べ歩きスタンプラリー、イベントのクリア特典として活用
など、“ここに来ないとできない体験”に変換することが、来訪の動機になります。

誰に来てもらいたいかを明確にする
地域のイベントで失敗しやすいのが、「誰に来てもらうか」があいまいなまま企画を進めることです。
例えば、同じ地域でもターゲットによってアプローチはかなり変わります。
・親子連れ:体を動かしながら遊べる、休憩スポットや親子連れに配慮があると参加しやすい
・若いカップル、学生:SNSに投稿したくなる写真映えスポットや限定感のある体験が刺さる
・地域住民、シニア層:歴史や文化に触れられる、落ち着いた散策型が喜ばれる
また、よく「子どもから大人まで(=全員)」がターゲットというケースを見かけますが、それはターゲットを設定しているようでしていません。
「小学生の子どもとその親」なのか、「幼稚園児の孫と祖父母」なのかによっても、アプローチは変わってくるため、できる限り詳細にイメージすることが大切になってきます。
ターゲットが広すぎると、本当に来てほしいターゲットに届きづらくなるというデメリットもあります。
ターゲットが違えば、告知方法・ルート設計・参加形式も変わるので、まずは「誰に来てほしいのか」を明確にして企画を作りましょう。

体験に“文脈”を与えて魅力を引き出す
地域の魅力を活かしたイベントでも、ただ「回遊してください」「見てください」だけでは、参加者の記憶に残りにくく、来訪満足度も上がりにくくなります。
そこで大切なのが、体験にストーリーや目的を持たせる=“文脈”を与えることです。
文脈があることで、参加者は行動に意味を感じ、体験したその場所や地域を「面白い場所」としてポジティブに印象づけられます。
体験を魅力的にする”文脈”の例
・物語を設定して没入感を高める
→ 参加者を主人公とした物語で、街歩きや体験に“目的”を与えます。
「商人が残した秘密を探す」「過去から届いた手紙の謎を追う」など、ストーリーがあるだけで、同じ景色でも特別な体験に変わります。
ポイント:地域に根付いた逸話や、「この地域といえばこれ」というものをモチーフにした物語にするのがおすすめ。
そうすることで、到着した瞬間から自然に“世界観”に入りやすくなるほか、体験後も場所のイメージとして記憶に残りやすくなります。
・行動を伴う仕掛けで、地域の魅力を“自分ごと化”させる
→ 能動的に体を動かす体験は、受け身の観光よりも記憶に残りやすくなります。
街歩き型の謎解きゲーム、スタンプラリー、フォトロゲイニングなど、「探す」「集める」「解く」などの行動を入れることで、楽しみながら自然と地域の文化や資源に触れられます。
ポイント:お寺の石像に隠れたマークを探す、商店街の看板の中にある特定の文字を見つける、季節の花や風景を背景に写真を撮るなど、“自分で見つける体験”が、参加者の発見や達成感につながり、地域の魅力を自分ごととして感じる瞬間を生みます。
・ゴールや特典を用意して、満足感を締めくくる
→ 体験の最後に明確なゴールや特典を設定すると、参加意欲も満足度も高まり、口コミやSNS投稿も自然に生まれていきます。
ゴール例:最後にストーリーの伏線が回収される、特別な景色を見られる場所に到着する
特典例:地域名産の小物や食品、限定デザインのクリア証明書、参加者限定の抽選企画
ポイント:特典は豪華でなくてもOKです。
「ここでしか手に入らない」「思い出に残る」という要素があれば、再訪や口コミにつながります。
このように、物語・行動・ゴールの3つを組み合わせるだけで、観光地ではない場所でも「行ってよかった」「人に話したい」と思える体験型イベントに変わります。
そして、結果として地域の新しい魅力を発信し、来訪動機を生み出すことができます。

告知と現地体験をつなぐ「回遊設計」
地域の魅力を体験してもらうイベントでは、「どんな順番でどのスポットを回ってもらうか」が満足度と集客効果に直結します。これを設計するのが「回遊設計」です。
行き当たりばったりに歩かせるのではなく、体験に沿ったストーリーと導線を作ることで、参加者は無理なく地域を楽しめます。
①滞在時間と移動距離を意識したルート作り
・滞在時間の目安は、街歩きなら1.5~3時間程度が一般的です。長すぎると途中で離脱されやすく、短すぎると「わざわざ来る価値」が弱くなります。
・移動距離は1~3km程度が安心。坂道や信号の多い場所では、より短く調整します。体験時間と移動時間のバランスを意識すると、満足感が高まります。
②「盛り上がりの山」を作る
回遊ルートには、体験が盛り上がるタイミングを意識して配置します。
・スタート直後に「わかりやすい楽しさ」を入れると、参加意欲が一気に高まる
・中盤でちょっとした仕掛けや映えるスポットを用意すると、SNS投稿や口コミにつながる
・ゴールは「達成感」や「景色」「特典」が得られる場所にすると、強く印象に残る
③商店街や飲食店に立ち寄れる導線を作る
地域経済にも貢献するイベントにしたい場合は、立ち寄りスポットを自然に組み込むと効果的です。
・飲食店の前を通る導線にして、休憩しやすいように案内
・スタンプラリーや謎解きのヒントを店舗に置き、訪問動機を作る
・回遊マップにおすすめ店舗を記載して、消費行動を後押し

地域の人や店舗を巻き込んで、賑わいを作る
体験型イベントは、地域の人や店舗と連携すると満足度も地域効果も大きく向上します。
また、参加者目線では、“訪れた場所での出会い”を通じて、街全体を好きになりやすくなります。
①店舗や施設をイベントの一部にする
・商店街やカフェを、謎解きやミッションのチェックポイントにする
・店頭で簡単なミニ体験(試食・スタンプ・グッズ展示)を実施する
・イベント参加者限定サービスを用意すると口コミも生まれやすい
②地域住民を“物語の一部”に
・イベントスタッフを地元の方にお願いすると、参加者との交流が生まれる
・ストーリーに沿った「案内人役」などにすると、より印象的な体験に
・参加者からの「地域に歓迎された」感が満足度にもつながる

まとめ|“観光地ではない場所”も体験設計で魅力が伝わる
観光地として知られていない場所でも、地域の魅力を体験に変えれば、人は訪れたくなります。
①地域資源を、その場でしかできない体験価値に変える
②ターゲットを明確化して、参加動機に合った企画を作る
③文脈づけ(物語・行動・ゴール)で記憶に残る体験にする
④回遊設計と地域巻き込みで、滞在時間と満足度を高める
この流れを押さえることで、地域イベントは単なる行事ではなく、再訪や口コミにつながる体験型集客施策へと進化します。
私たちハレガケは、リアル謎解きゲームをはじめとした参加者体験型イベントの企画・制作会社です。
地域資源の発掘から企画設計、回遊動線・告知・当日運営まで、一貫したサポートが可能です。
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「観光地ではない場所にも人を呼びたい」
そんなときは、ぜひお気軽にハレガケにご相談ください。
“行きたくなる理由”から一緒に設計し、地域のファンを増やすお手伝いをします。















