はじめに
イベントの企画や運営において「企画にはこだわったのに人が集まらない」「来場者の満足度が低く、リピートに繋がらない」といった悩みは少なくありません。
これは、
・“ターゲットが”楽しそう!と思う企画ではなかった
・魅力的に思わせる打ち出しができなかった、適切な集客方法が思いつかない
などの課題に直面しているケースが多いです。
集客の伸び悩みの根底には、イベントの「開催目的」や「ターゲット層」が不明確なまま企画が進められ、参加者が「このイベントで何が得られるのか」という具体的なメリットが伝わっていないという問題があります。
目的やターゲットが曖昧では、どんなに良いコンテンツでも誰にどう響くかが定まらず、集客や満足度に繋がりません。
「楽しそう」「行ってみたい」と感じるイベントは、偶然生まれるものではありません。
参加者の心理と行動を理解し、マーケティング戦略に基づいて「人を動かす施策」として設計されています。
イベントを単なる催し物ではなく、戦略的な手段として捉え、参加者が明確な価値を感じられるよう意図的に設計することが成功の鍵です。
本コラムでは、イベントを「人々を魅了し、行動を促す力強い施策」へと変えるための設計思想とノウハウを深掘りし、「楽しそう」と思わせるイベントは裏でどう作られているのか、そのワザをお伝えします!

“行きたくなるイベント”に共通する「心惹かれる」要素
人々が「行きたい!」と強く感じるイベントには、いくつかの共通する魅力的な要素があります。
これらは、参加者心理を分析し、彼らに届くように企画段階から組み込まれています。
まず、参加者がそのイベントに参加することで得られる明確なメリットを具体的に提示することが重要です。
例えば、「知りたい情報が手に入る」「他では体験できない珍しい経験ができる」「子どもや家族と一緒に楽しめる」「お試しサンプル品がもらえる」といった、参加者の具体的なニーズに応える価値提供です。
ターゲット層の悩みや関心事を深く把握し、それらに直接応えるメリットを分かりやすく伝えることが不可欠です。

次に、イベント名やキャッチコピーで「感動」「驚き」「楽しい」「役立つ」「最高の」といった感情を刺激する言葉を選び、期待感を高めることも効果的です。わかりやすく直感で理解できるようにすることが大切です。
“どこでどんな価値のある体験ができるのか”を端的に表現しましょう。

さらに「ここでしか体験できない」独自性や特別感を生み出すことも重要です。
期間限定イベントや、その場所ならではの要素を組み込んだイベント設計で「希少性」を生み出すことで、特別な価値があるんだと思わせ、参加意欲を高めることができます。
これらの要素は、ターゲットに合わせた形でイベントに組み込まれることで、参加者の心を惹きつけます。

“ロケハン”と“ターゲット理解”でイベントの土台を作る
先ほどお伝えした「心惹かれる要素」をどうしたら生み出せるかは、「誰に」「どこで」イベントを届けるかという深い理解にかかっています。
特に「ターゲット理解」と「ロケハン(現地調査)」は、その場所で開催する価値を明確にし、イベントの方向性を決定づける重要な要素です。
①「誰に届けたいか」を徹底的に掘り下げるペルソナ設定
イベントの開催目的を明確にした後、次に取り組むべきは「誰のためのイベントなのか」というターゲット層の明確化です。
年齢、性別、職業、趣味嗜好、ライフスタイル、情報収集源など、より詳細な「ペルソナ」を設定することが、イベント企画の軸を確立し、メッセージのブレを防ぐ鍵となります。
ペルソナは、イベントのコンテンツ、会場選定、プロモーションといったあらゆる側面において、関係者全員が共有すべき「共通の設計図」として機能します。
ペルソナ設定は、可能な限り「リアルな声」を収集し分析することが重要です。
ターゲットの行動習慣、情報収集源、興味関心、抱える課題などを深く理解することで、彼らに響くメッセージやアプローチ方法を効果的に見極めることができます。

②ロケハンを行い、その場所が持つ“特徴や魅力”、“そこでやる意味”を発掘
実際に現地に訪れ、「どうしてこの場所でやるのか」「この場所ならではの魅力や特徴は何か」「それはターゲットが求めていることなのか」をリサーチすることはとても大切です。
地元の方にインタビューをしたり、イベントを想像しながら歩いたりしてみることで、色々と見えてくるものもあります。
特に、その場所が持つ文化的背景、歴史、独自の雰囲気、絶景といった要素を組み込んだイベントを企画する際は、「ここにしかない魅力や面白さ」を探ることを意識してロケハンを行いましょう。
このような認識を持ちながら現地調査を行っていくことで、イベントの独自性や記憶に残る印象を高め、結果として口コミの促進や集客力の強化に繋がります。

地域や施設の特性をイベントに組み込む成功事例は数多く存在します。
例えば、青森県の「田んぼアート」や石川県白峰村の「雪だるまウィーク」のように、地域の特性(稲、豪雪)を最大限に活かしたイベントは、その高い芸術性や地域ならではの風情で大きな話題を呼び、年間数十万人もの集客に成功しています。
ターゲットの「面白そう!行ってみたい」を引き出すコンセプトメイク
そして、イベントの成功を左右する最も重要な要素の一つが「コンセプト」です。
コンセプトはイベントの「核」となり、ターゲットの心を掴み「面白そう!行ってみたい」という強い動機を引き出します。
①イベントの「核」となるコンセプトの重要性
コンセプトとは、そのイベントがどういう価値のコンテンツであるかを伝えるものです。
「ユーザーの欲求を満たす価値」や「このゲームならではの面白さや面白そうと思える要素は何か?」などを一言で表す設計思想となります。
イベントの目的が明確であれば、その目的に沿ったコンセプトを考えることが容易になります。コンセプトが強固であればあるほど、イベント全体に一貫性が生まれ、その本質的な価値が参加者に強力に伝わるため、結果として集客力の向上に繋がります。

②シンプルに、具体的に、そして感情に訴えかけるコンセプトの作り方
効果的なコンセプトは、シンプルで理解しやすいものが理想的です。
例えば、スターバックスの「サードプレイス(Third place)」やAppleの「Think Different」、Nikeの「Just Do It」のように、短く覚えやすいコンセプトは、理解がしやすく人々の記憶にも残りやすいです。
また、コンセプトには感情を刺激する言葉や、意外性、ユニークさのある表現を取り入れることが重要です 。
人間はシンプルで感情に訴えかける、あるいは意外性のある情報をより効率的に処理し、記憶に留めやすいという特性があります。
これにより、参加者の記憶に残りやすく、イベントに対する強い共感を呼び起こすことができます。
さらに、抽象的な表現に留まらず、具体的な例や数字、ストーリーを用いることで、参加者がイベントの内容や得られる体験をより鮮明にイメージできるようになるため、結果として集客力の向上に繋がります。

③心を掴むコンセプトがイベントにもたらす効果
明確で魅力的なコンセプトは、イベントの企画・運営に関わる全ての関係者が共通の目的意識を持つことを可能にし、企画のブレを防ぎます。
これにより、イベント全体に一貫性が生まれ、参加者に対して「まさに自分のために開催されるものだ!」という強い実感を与えることができ、結果として高い関心と参加意欲を引き出します。
現代のイベント市場は飽和状態にあり、単に「良いイベント」であるだけでは、多くの選択肢の中に埋もれてしまう可能性があります。
このような状況において、ユニークで差別化されたコンセプトは、イベントのブランディングに繋がり、競合イベントとの違いを際立たせる要因となります。
さらに、その独自性や魅力がSNSでの話題性も生み出しやすくなるため、自然な情報拡散にも繋がるでしょう。

拡散と再訪を促す「仕掛け」の工夫
ここまでは「人を動かす施策」をお伝えしました。
さらにイベントを成功させるには、来場者を集めるだけでなく、その体験を「拡散」してもらい、次回の「再訪」に繋げることが重要です。
これには、参加者が自発的に行動したくなるような、緻密な「仕掛け」が不可欠です。
①SNSで「思わず投稿したくなる」ポイント設計
イベントの情報を効率的に拡散させるためには、参加者自身が「共有したい」と感じるような仕掛けを意図的に作り出すことが重要です。
イベント会場内にインスタ映えする写真撮影スポットを設置したり、イベントロゴ入りのオリジナルグッズを配布したりすることは、参加者が自然とSNSに投稿したくなる環境を整える上で効果的です。
また、参加者が楽しみながら自然とイベントを教えたくなるようなゲームやクイズなどの体験型コンテンツを用意することも有効です。
ほかにも、イベント専用のハッシュタグを設定し、参加者に積極的に使用を促すことで、イベントに参加できなかった人もハッシュタグを通じてイベントの魅力を知り、次回の来場に繋がる可能性が生まれます。

②「また来たい!」を生み出すリピーター戦略
一度来場した顧客を「ファン」に変え、次回のイベントへの再訪を促すことで、長期的な関係を構築し、翌年以降のイベントを盛り上げることができます。
イベント終了直後の熱意が高い時期に、お礼メールやアンケートでフィードバックを収集し、イベントレポートや写真をSNSで共有することで、参加者の記憶を呼び覚まし、次回の期待感を高め、リピーター獲得に繋げます。
また、イベント参加数に応じてたまるポイント制度や会員ランク制度を導入したり、会員限定情報や割引クーポンで再訪を促したりすることも、継続的な関係構築につながります。

まとめ
「楽しそう」に見えるイベントは、決して偶然の産物ではありません。
それは、緻密な計画、深いターゲット理解、そして戦略的な仕掛けによって「設計された」結果です。
イベントは、単なる集客手段ではなく、企業やブランドの目標達成のための重要なマーケティング戦略の一部として捉えましょう!
ハレガケでは、開催場所となる商業施設や地域の特性、ターゲットに合わせて、“つい立ち寄ってみたくなる”、“つい参加したくなる”体験型イベントを企画・制作しています。
「リアル謎解きゲーム」をはじめ、施設全体を活かした回遊設計や、導線・演出・SNS活用などを含めた一気通貫のイベント設計が可能です。
「イベントの集客を伸ばしたい」「施設や地域のファンを増やしたい」とお考えのご担当者様は、ぜひお気軽にご相談ください。















