はじめに
「沿線の魅力発信や利用促進をしたいけれど、ただの移動手段としてしか見られていない……」
「昼間の空いている時間帯、もっと乗ってほしいけれどきっかけがない……」
鉄道やバス事業者の担当者様にとって、既存のインフラを維持しながら、いかにして収益や賑わいを生み出すかは、常に頭を悩ませる課題ではないでしょうか。
実際に私も、電車に乗っている時はスマホを見ているだけで、窓の外の景色はほとんど気にしていません。
通過する駅にどんな素敵な店があっても、「降りる理由」がなければそのまま素通りしてしまいます。
そんな悩みを抱えている方々におすすめなのが、「交通機関×謎解き観光」という手法です。
ダイヤや車両はそのままに、単なる移動を「エンタメ」に変え、オフピークの乗車や途中下車を自然に促すための設計ポイントを解説します!
「交通機関×謎解き観光」の魅力から、実際の事例まで幅広くご紹介しますので、ぜひ最後までご覧ください!
徒歩には限界がある? 満足度を劇的に高める「電車×謎解き」という最適解
街を巡りながら謎を解く「謎解き観光」は、「謎を通じて様々な場所を訪れることができる」「知らない場所を冒険するワクワク感がある」という魅力があります。
これらの魅力は、巡る範囲が広いほど増すという傾向があります。
範囲が広いほどより多くの魅力的な場所を巡ってもらうことができますし、単純に広範囲を移動するということ自体に冒険感がありワクワクします。
その一方で、巡る範囲が広すぎると参加者の満足度の減少につながるケースもあります。
「謎を解く時間より徒歩の移動時間が長かった」「徒歩移動でかなり疲れてしまった」という感想は、謎解き観光イベントでよくみられるマイナスな感想です。
これによりイベント全体の満足度が下がったり、参加者が途中離脱をしたりすることにもつながります。

実際私も街を巡る謎解きに参加した際、同じような経験をしたことがあります。
次に向かう目的地が遠く、その時にはかなり疲れていたので、「また別の日に続きをやろう」とその日は帰ったのですが、結局そのまま続きをすることはなく、途中まで解かれた謎が棚の奥底に眠っています。
途中離脱をしてしまうと、そのイベントに対しての感情がマイナスな状態になっているので、なかなか続きをやろうという気になれないのです。
このデメリットを解消しつつ、広範囲をめぐるワクワク感を楽しんでもらうための解決策として有効なのが「交通機関×謎解き」なのです。
空席が“特等席”に変わる。鉄道・バス会社がこぞって「謎解き」を導入する3つの経営メリット
「交通機関×謎解き」は参加者だけでなく「鉄道・バス会社」の方々にもメリットをもたらします。
1. 「オフピーク」の空席が、収益を生む“特等席”に変わる

交通機関、特に都市部ではない地方の交通機関が抱える問題として、「通勤ラッシュ以外の時間の稼働率の低さ」がよく挙げられます。
ただ、目的がない人々に電車やバスの利用を促すことはなかなか難しいです。
「交通機関×謎解き」では、イベントに付随して自然と公共交通機関を利用してもらうことができます。
また謎解きイベントの特徴として、参加者の好きなタイミング・好きなペースで遊べることが挙げられます。
つまり、「車両内の混在を嫌い避けようとする参加者」は自然と「利用客の少ないオフピークの時間帯を利用する」のです。
ダイヤの増便などをする必要がなく、今走っている電車に謎解き参加者を乗せるだけで新たな収益を生み出せる「高効率なビジネスモデル」であると言えるでしょう。
2. 「何もない無人駅」が、魅力的な“目的地”に化ける

謎解き観光イベントでは、街中にあるものを手がかりとして手元の謎を解き進めていきます。
街中の何を謎解きの手がかりとするかは、私たちのような謎制作者が下見を行なって決めていくのですが、実はどのようなものからでも謎を作ることができます。
今までに私が作った謎で言うと「川を渡る橋の柱の形」「店頭に置かれているウサギの置物」「エレベーターの上の施設案内」などからも謎を作ったことがあります。
つまり何が言いたいかというと、「普段あまり人が訪れないような駅にも参加者を誘導することができる」のです。
普段謎解きイベントを作っていて、謎解きの手がかりの場所を決めるとき、私はまず担当者の方に「どこか参加者に巡ってほしいところはありますか?」とお聞きします。
「より知ってほしいところ」「普段人があまり来ないから来てほしいところ」など、フレキシブルに参加者が巡る場所を決められるのです。
3. 「若年層・ファミリー層」という新規顧客の開拓

バスや電車などの交通機関は、「利用客が固定化・高齢化する」という課題を抱えているところが多いです。
特に地方では車社会のところが多く、車を利用しない高齢者層の利用割合が多い傾向があります。
それに対し謎解き観光イベントでは20~40代がメインターゲットとなっています。
よって「新規顧客の開拓」の効果も見込めるのです。
イベント参加のために交通機関を利用してもらうことで、「この電車、意外と便利だね」「景色がいいね」などの良さに気がついてもらい、将来的な利用促進につなげることができます。
参加者の財布の紐を緩める「一日乗車券」の心理マジック

「交通機関×謎解き」ならではの施策としてよく活用されているのが「一日乗車券」です。
「謎解きキットと既存の一日乗車券をセットにする」「謎解きキットを提示することで一日交通機関が乗り放題になる」など様々な方法があります。
一日乗車券のメリットは大きく以下の2つがあります。
1. どれだけ乗っても追加でお金がかからない安心感を参加者に与える
謎解きは性質上「謎を解くことで次に行く場所がわかる」という形式のものが多いです。
なので、「どのくらい交通費がかかるかわからない不安」と感じ、参加をやめてしまう人も少なくありません。
また、先にかかる値段がわかっていたとしても謎解きに払ったお金とは別にお金を払うことに少し抵抗があるということもあります。
私も経験として、「出前や通販などのサイトで商品を買おうとしたら追加で送料が300円かかり、なんとなく送料に300円払うのが嫌で買うのを諦めた」ということがよくあります。
自分の目的のもの以外にお金を払わされることには少し抵抗があるものです。
これを、一日乗車券として初めから謎解きキットに入れておくことで、「謎解きに払った」という感覚になり抵抗感が薄くなります。
2. 謎解きで利用していない駅にも寄り道してもらえる
一日乗車券に限らず「〇〇し放題」と言う文言を見ると、人は「利用すればするほど得である」という感覚になりがちです。
例えば、食べ放題に行った時に「できるだけいっぱい食べるぞ!」と思った、というような経験が皆さんにもあるのではないでしょうか。
一日乗車券をつけることで、謎解きで立ち寄る駅以外の駅にも寄り道してもらいやすくなります。
これによって路線の沿線全体が活性化し、利用客の増加にもつながります。
いつもの路面電車が「謎解きの舞台」へ。富山の街を巻き込んだ冒険の物語
それでは最後に、弊社で実際に行った「交通機関×謎解き」の事例をご紹介します。

2025年の3月から11月まで、富山県で「まいどはやバス」「市内電車」とコラボして制作したイベント「探偵物語2025 小さな依頼人と消えた少女」を開催しました。
このイベントは、富山県のコミュニティバスと市内を走る路面電車の利用促進のために企画・実施しました。
また、謎解きキットを見せることで、一日無料で「まいどはやバス」「市内電車」に乗ることができ、気兼ねなく市内を探索できるようになっていました。
アンケートを見ると、約57%の人がここを訪れるのは初めて、または1年以上ぶりと回答しており、外からの人の流入や利用促進につながっていることがわかります。
また、約85%の人がイベント中に現地の施設で買い物をしたと回答しており、活性化につながっていることもわかります。
<制作者コメント>
地元富山での謎解きイベントの制作を担当しました。
まいどはやバスや市内電車は、次の便が来るまで20分ほどかかる時もあるので、すぐ解けてしまうボリュームだとバスを待つ時間が長くなってしまい、体験価値が下がると考えました。
なので、謎が解き終わるタイミングに次の便が来るくらいの、ちょうど良いボリュームを意識して制作を行いました。
まとめ|交通機関を有効活用し、エンタメに昇華していきましょう!
交通機関は、単に人を場所から場所へ運ぶだけのパイプ役ではありません。
見方を変えれば、そこは非日常を演出する最高の「舞台」であり、地域全体にお金を落としてもらうための「動脈」でもあります。
「移動そのものが目的になる」
そんな体験を作り出すことができれば、見慣れた景色は輝き出し、参加者にとって忘れられない冒険の記憶となるはずです。

株式会社ハレガケでは、単に謎を置くだけでなく、運行ダイヤや安全面にも配慮し、現場の運用負荷を最小限に抑えたイベント設計をご提案します。
あなたの路線の「当たり前」を、参加者にとっての「冒険」に変えてみませんか?
「うちの路線でもできるかな?」と思われた担当者様は、ぜひ一度お気軽にご相談ください。















