はじめに
人々の購買行動が多様化し、リアルな場での消費体験に価値を感じる人が多い中、商業施設のイベントで求められているのは、“買い物のついで”に訪れたお客様が、思わず足を止めて参加したくなるような企画です。
施設の魅力を高めるには、ただ人を集めるだけでなく、「立ち寄りたくなる」「滞在したくなる」ような仕掛けが欠かせません。
本記事では、商業施設で実施されている人気のイベント事例を紹介しながら、企画設計のポイントや成功のコツを解説します。
「滞在時間や回遊率をどう高めるか」「思わず参加したくなる工夫とは?」といった視点で、イベント企画のヒントとしてご活用ください。
実際に人気を集めた商業施設イベントの事例紹介
①リアル謎解きイベント(複合商業施設全体を使った回遊型)

施設全体を舞台に、参加者が謎を解きながら館内を巡るイベントです。
物語性と“探しに行く”楽しさが融合し、自然と各エリア・フロアへと足が運ばれます。
参加時間が自由な設計や、LINEなどを使ったスマホ参加型にすることで、買い物や食事の合間に気軽に参加できる点も好評。
商業施設で開催する場合は、無料~500円程度の参加費にするのがおすすめです。
ファミリー層や友人同士、カップルでの参加が多く、SNSでのシェアも期待できます。
②期間限定の体験型ワークショップ(アート・クラフト・科学実験)

アートやクラフト体験、プチ科学実験など、“手を動かす体験”ができるワークショップは、親子連れの参加率が高く、イベント目的の来館も生まれやすい企画です。
“作って持ち帰れる”という要素が記念になるだけでなく、施設内での体験を“思い出”として残すことができます。
夏休み・ハロウィン・クリスマスなどの季節の行事やイベントと組み合わせることで、集客効果がさらに高まります。
③フォトスポット&SNS投稿キャンペーン

来館者が“思わず写真を撮りたくなる”ような装飾・演出を用意し、SNS投稿を促す仕組みを加えた企画です。
たとえば、夏休みに合わせて“海の生き物”をモチーフにした大型バルーンを設置し、光の演出で非日常感を演出。
その前で撮影した写真を「#〇〇モールの夏休み」などのハッシュタグ付きで投稿すると、抽選で人気スイーツなどが当たる仕組みです。
投稿画面の提示だけで参加できる手軽さと、SNSに“投稿したくなる”印象的な光景や体験が掛け合わさることで、話題づくりにもつながります。
若年層を中心に拡散性が高く、SNS経由での認知獲得と来館動機づけも同時に狙えます。
④スタンプラリー&参加型抽選イベント

館内を巡ってスタンプを集めたり、対象店舗で買い物をすると抽選に参加できたりするイベントです。
たとえば、対象の店舗を周って一定数のスタンプを集めると、ゴール地点で抽選やくじ引きに参加できる形式が定番になっています。
“立ち寄る理由”を自然に生むため、施設の回遊率や購買率の向上に効果的です。
家族連れや買い物中の来館者が気軽に参加しやすく、テナントとの連動施策としても活用されています。
また、集客や参加者満足度をさらに強めたい場合、物語付きのスタンプラリーも没入感が高まりおすすめです。
参加者は物語の主人公となり、館内の様々なスポットを巡っていき、スタンプを集めることで物語が展開するという仕組みになっています。
「物語の続きが気になる」という理由から、離脱者が少ないのもポイントです。
成功の理由|“立ち寄りたくなる”企画の設計要素

①直感的に動ける導線と回遊設計
イベントに参加することで自然に施設を巡るような“回遊導線”があると、滞在時間や他店舗の立ち寄りが増えます。
スタンプラリーや謎解きのように、目的地が明確に示されている形式は特に効果的です。
目的地や「何をしたら良いか不明瞭」だと、面倒になったり途中で諦めてしまったりするもったいないケースに。
「次はどこへ行けばいいか」が直感的にわかる設計が大切です。
②ターゲットの気持ちに寄り添った体験
親子連れ、若年層、シニアなど、ターゲットごとに求めている体験・楽しそうだと感じる要素は異なります。
来館者が「自分も楽しめそう」「参加してみたいな」と感じる設計があると、参加率は大きく変わります。
たとえばファミリー層には安全性や手軽さ、若年層には“映え”や限定感など、それぞれの来訪目的や心理に合った体験設計が求められます。
③滞在時間を伸ばす“もう一歩”の工夫
イベント単体で終わるのではなく、連動するキャンペーンや複数箇所での体験が連なっていると、盛り上がっている演出につながるほか、滞在時間も自然に延びていきます。
開催期間中に複数日・複数回の訪問を促すスタンプカード施策や、次回来店につながる特典なども効果的です。
④SNSで発信したくなる設計
イベントが話題になれば、それだけで新たな来館者を生むきっかけになります。
特に開催期間が数日以上になる場合は “参加して終わり”ではなく、“シェアしたくなる体験”にすることで、話題性や拡散力が高まります。
フォトブースの設置やフォトアイテムの用意など写真映えする演出に加えて、オリジナルグッズがもらえる投稿キャンペーンなど、投稿するメリットやSNSで「自慢したくなる」要素を盛り込むことがポイントです。
企画時に注意したい3つの視点

①実現可能性と運営負担のバランス
華やかに見えるイベントも、実際には人員配置やタイムスケジュール、導線管理や当日のトラブル対応など、運営面での負荷が大きくなることがあります。
特に土日や繁忙期などの開催では、最低限のスタッフ数でもスムーズに進行できるよう、オペレーション設計を企画段階から意識しておくことが重要です。
実現可能性を冷静に見極め、運営負担と見込まれる効果のバランスをとることを意識しましょう。
②タイミングと季節性のかけ合わせ
来館者の行動は、時期や気候、学校・会社のスケジュールに大きく左右されます。
夏休みや年末年始、連休シーズンなど、人が動くタイミングに合わせて“行く理由”をつくることが、成功率を高めるポイントになります。
③テナントとの連動による相乗効果
施設内のテナント店舗と連動した企画にすることで、来館者の購買行動にもつながり、テナント満足度の向上にも貢献できます。
たとえば
「謎解きの途中に立ち寄る店舗でヒントを得る」
「スタンプを押す場所でちょっとした購入特典を用意する」
「ワークショップで使用した商品を連動販売する」
など、イベントと店舗をつなぐ設計を入れると、回遊・購買・満足度のすべてを高めることができます。
“その施設らしい体験”をつくる、世界観設計の視点

企画がどれだけ魅力的でも、施設のイメージや空間と合っていなければ、来館者に違和感を与えてしまう可能性があります。
たとえば、落ち着いた雰囲気が特徴の施設であれば、演出の色味・音楽・スタッフの接客スタイルまで含めて、施設のトーンを崩さない工夫が求められます。
また、地域に根ざした施設の場合は、地元の名産や歴史・文化と結びついたテーマ設計を取り入れると、「この場所ならでは」の体験として、リピーターや観光客の印象にも残ります。
イベントそのものの面白さだけでなく、“施設の空間の一部”としてどうなじむかまで意識して設計することで、参加者の記憶に残りやすく、SNSでの拡散や口コミにもつながりやすくなります。
まとめ|“立ち寄りたくなる仕掛け”で施設の魅力を最大化
商業施設におけるイベントは、単なる集客施策ではなく、来館者に“記憶に残る体験”を届けるための重要な手段です。
滞在時間や回遊率の向上、テナント満足度、SNSでの話題化など、施設全体に与える影響も大きくなっており、企画の設計から実施運営まで、どの段階にも成功の鍵が存在します。
ハレガケでは、開催場所となる商業施設や地域の特性、ターゲットに合わせて、“つい立ち寄ってみたくなる”、“つい参加したくなる”体験型イベントを企画・制作しています。
「リアル謎解きゲーム」をはじめ、施設全体を活かした回遊設計や、導線・演出・SNS活用などを含めた一気通貫のイベント設計が可能です。
「イベントをきっかけに、施設全体をもっと楽しんでもらいたい」とお考えのご担当者様は、ぜひお気軽にご相談ください。